スクール・教材

ロボット教材「ミニマル工場」

産業技術短期大学、神戸工科高等学校との共同開発・量産

工場を机の上に再現したロボメイツオリジナル教材

産業技術短期大学、神戸工科高等学校との共同開発・量産

ミニマル工場は、産業技術短期大学、神戸市立神戸工科高等学校との共同研究で開発・量産しているロボメイツオリジナル教材です。

ミニマルは「最小限の」という意味で、教育用小型アームロボットなど複数のロボットを同期して作業させる協調制御を行い、机の上に最小限の工場を再現することをコンセプトとしています。作業する対象物を運んでくるベルトコンベアや、物をつかんで決まった場所に入れるアームロボット、コントローラなどを組み合わせることで、例えば食品工場や部品の組み立て工場などが再現できます。

小学校の机の上で、子どもたちが産業用ロボットの働きや仕組み、プログラミング、操作、自動化などさまざまなことを学べる。そんな教材を目指して作りました。

ミニマル工場の特徴

①産業用ロボットがテーマ

 人型ロボットなど愛玩用ではなく、ロボットオペレーターやSIer、開発者といった将来の職業選択につながるキャリア教育を目的として、産業用ロボットをテーマに据えました。

②実際の工場を想定

 アームロボットに加え、作業に必要な物を運ぶベルトコンベヤ、緊急停止スイッチなどの設備や協調制御、ティーチングペンダントでの操作ほか、実際の工場を意識したリアルな教材を目指しました。

③学習のアレンジが自在

 プログラミング、組み立てなどの工作、操作など、学習内容と難易度のアレンジが可能で、意欲のある生徒はプログラミングから取り組むこともできます。目標に向けて何を使ってどう動かすか、SIer的観点から考える課題ができます。

④楽しいストーリーを作れる

 「ピザを量産して職人を助ける」「SNSでバズったまんじゅうの箱詰めを自動化して、多くの人が買えるようにする」など、ロボットが活躍して人の役に立つストーリーを自由に設定できるので、子どもたちが楽しく取り組めます。

⑤量産で全員が体験可能に

 産業技術短期大学の二井見博文教授との共同開発、神戸市立神戸工科高等学校の協力により、量産に成功しました。市販の高価な教材では5、6人に1台の割り当てで、授業中に全員が触ることは難しかったのですが、ミニマル工場は2、3人に対して1台となり、全員の体験が可能になりました。

⑥小さくて持ち運びも簡単

 小学校の机の上に載るサイズで、組み立てや取り外し、持ち運びも簡単です。子どもでも運べる程度の重さです。

アームロボット教材「あまロボ」

ミニマル工場で使うメインとなるアームロボットを「あまロボ」といいます。あまロボのティーチングペンダントはロボットそのものを小さくした形なので、例えばアーム部分を右に振るとロボットのアームも右を向きます。数値の指定をすることなく、子どもでも直感的に動かすことができます。

ミニマル工場を使った学習の例

例えば、ティーチングペンダントを使ったティーチング体験(コントローラを使った動作の指示、操作体験)ができます。過去のイベントでは、具材を運ぶコンベヤやロボットをつないでミニマル工場を組み立て、「あまロボ2023」に動きを覚えさせてピザ作りの工程を自動化できたらゴール、というミッションに子どもたちが挑戦しました。

関連記事(2023年のイベント例)
神戸工科高校で小中学生向けイベント「ロボット大作戦 ロボメイツ」

教材開発・量産への道のり

・2021年度
 市販の教育用ロボットアーム「Dobot Magician Lite」の使用を開始。

・2022年度
 産業技術短期大学の二井見博文教授と出会い、ミニマル工場の構想からオリジナル教材の開発がスタートしました。
 同教授は、教材用アームロボットの試作を重ねる一方で、ロボットのハンド部分を模した教材「パクパクハンド」も製作してくださいました。開発・製作が間に合い、教材用手動型アームロボット、パクパクハンドともに9月、10月の小学校でのロボット授業で使用することができました。

教材用手動型アームロボット
パクパクハンド

・2023年度
 二井見教授と教材用アームロボットの開発を進めて「あまロボ」と名付け、神戸市立神戸工科高等学校の協力も得て、ついにミニマル工場が誕生。ティーチングペンダント、コンベヤ、回転台などを備えたセットで、神戸工科高校の生徒たちがコツコツ製作して量産化に協力してくれました。
 また、地元のものづくり企業である有限会社中野製作所様に、ロボットのハンドの部分を模した教材「パクパクハンド」のパーツを製作していただきました。そのほか、神戸の東華護謨(とうかごむ)工業株式会社様より、輪ゴムを寄贈いただきました。パクパクハンドや手動式アームロボット教材は輪ゴムを先端部分に使ってばねの力で開閉し、ロボットSTEAMスクール「ロボキャン」などで用いるコップ型お絵描きロボットにも輪ゴムを使います。
 さらに、二井見教授がパクパクハンドをリニューアルして電動化しました。

 現在、あまロボを備えたミニマル工場とパクパクハンド、コップ型お絵描きロボットなどが、学校の授業やイベント、ロボットSTEAMスクール「ロボキャン」で活躍中です。

(2023年10月現在)

ミニマル工場
左:手動型パクパクハンド、右:電動型パクパクハンド
コップ型お絵描きロボット

ハンド部分の教材「パクパクハンド」

アームロボットの先端でものをつかむ「ハンド」の部分をロボット工作キットにしたもので、子どもが自分で組み立て、ネジを締めて作ります。パクパクハンド本体にペンを差し込み、片手でペンを握り、もう片方の手でひもを引き口を開閉させると、アームロボットの先端の動きが再現される仕組みです。
小学校で習う支点、力点、作用点の「てこの原理」の学習にもなります。力がいらず操作も簡単です。
手動タイプを進化させた電動タイプは、モーターを付け、コンピュータで動かせるようにしました。

教材開発はもちろんこれで終わりではなく、これからもまだまだ続きます。授業やイベント、スクールなどを通して子どもたちや先生方、ご協力くださる皆さまからのアドバイス、感想などのお声をお聞きしながら、今後も開発を進めてまいります。